インバウンド向けコスメ売場|多言語POPより先に、試した商品を見失わない案内を
インバウンド向けコスメ売場では、多言語POPを増やす前に、試した商品を購入棚で見つけられるか確認しましょう。正式商品名、品番、画像、置き位置をそろえれば、翻訳だけに頼らない案内を作れます。そのうえで、店頭で必要な短い説明と、詳しい情報へ進む方法を分けます。
韓国のOLIVE YOUNG N Seongsuの公式紹介を参考に、国内の表示と接客を一緒に考えます。
CJ NEWSROOMの2025年2月の公式記事は、韓国のOLIVE YOUNG N Seongsuについて、体験プログラム、専門性を持つスタッフ、語学研修を紹介しています。同年1月の紹介では、英語の商品ラベルと多言語スタッフにも触れています。
オリーブヤングN 聖水(OLIVE YOUNG N SEONGSU)
特徴: 地下鉄2号線「聖水駅」4番出口から徒歩約1分(約100m)にある5フロア構成の最大規模店。カフェ併設やAI肌診断、ポップアップスペースなど体験型コンテンツが充実しています。
営業時間: 10:00〜22:00(年中無休)
住所: ソウル市城東区練武場7ギル13(ファクトリアル聖水)
オリーブヤング ビューティーマンション 聖水
特徴: 北聖水エリアに位置し、メイクアップやスキンケアの最新トレンドアイテムが揃う注目スポット。
営業時間: 10:00〜22:00
住所: ソウル市城東区聖水洞2街277-81(聖水駅2番出口から徒歩約1分)
参考にするのは、文字の翻訳だけでなく、試用と説明を合わせている点です。
当時の公式紹介であり、現在の予約や提供サービスの案内ではありません。
リバティープロの制作・視察事例でもなく、国籍ごとの好みを一律に決める根拠としては扱いません。
国内の棚では、来店者が何を探しているかを確かめ、その商品へ迷わずたどれる案内に置き換えます。
まず、テスターと販売品を同じ物だと分かるようにする
テスターは裸の容器、販売品は箱入りという場合、名前が読めても外観の違いで迷うことがあります。正式商品名、品番、必要に応じたパッケージ画像を照合し、試用台と購入棚で同じ表示を使います。
棚だけの通称や記号を使うなら、正式名称との対応を残します。「青い方」のような色だけの案内では、照明、似たシリーズ、印刷の差で取り違える可能性があります。色は補助とし、文字や品番を併用しましょう。
持ち帰りカードを用意するなら、試した商品に印を付けられる形も考えられます。家族への相談や後日の確認でも、同じ商品を探せる手がかりになります。

表示を三層へ分けて、文字を詰め込まない
情報の層 | 店頭での役割 | 掲載する内容の例 |
すぐ識別する情報 | 何の商品か、どこで買うか | 名称、品番、価格、テスター区分 |
選ぶための短い説明 | 何を比べるかを示す | 確認済みの用途、使う場面 |
詳しく確認する情報 | 必要な人が読み進める | 公式商品情報、使用方法、確認先 |
リバティープロの公開FAQでは、店頭の短い訴求とQR先の詳細を分ける考え方を案内しています。多言語化でも、すべての文章を一枚へ重ねる前に、店頭で欠かせない情報を絞ります。
QR先へ移す場合も、通信できない状態で商品名や購入位置が分かるようにします。必要な注意事項を自由に省略してよいという意味ではなく、表示の内容と配置は商品・店舗の確認先と合わせます。
図や矢印も、意味が伝わるか確認する
図は言語の負担を減らす助けになりますが、どの文化・言語でも必ず同じ意味に読めるとは限りません。顔の図に矢印を付けたとき、それが使う場所なのか、使わない場所なのかが曖昧になる可能性もあります。
用途、使用順、戻し位置は、確認済みの短い言葉と組み合わせます。翻訳した文章が収まらないから極端に小さくするより、階層と表示面を見直してください。初めて見る人が同じ商品を指せるかを、完成画像だけでなく実寸に近い状態で確かめます。
音声案内を使う場合も、聞かなくても基本情報を見られる構成にします。

接客カードは、説明と質問の両方をそろえる
接客側には、商品説明だけでなく、必要な確認をする短い質問を用意する方法があります。「どの商品を試しましたか」「どの使用場面を探していますか」など、今回の選択に必要な範囲に絞ります。指差しで答えられる項目と、自由に相談できる余地を併せて用意します。
国名や見た目から好みを決めつけず、使う予定や希望は本人へ確かめます。必要がない個人情報まで聞く構成にしないことも大切です。専門的な質問へ対応できない場合は、確認済みの情報へ案内するか、対応できる担当へ引き継ぐ道を決めます。
想定例として、旅行中に使う商品と、帰宅後に使う商品を探す人が同じ棚を利用するとします。国籍が同じでも必要な容量や持ち歩き方は違うかもしれません。「その国の人向け」と分類する前に、本人が今回どの場面で使うかを確認する方が、具体的な商品選択へつながります。
翻訳の更新は、商品と一緒に管理する
商品名、容器、使用方法が変わると、日本語だけでなく各言語の表示、接客カード、持ち帰りカード、QR先も確認が必要になります。翻訳文を単独で管理せず、商品番号と表示物の版を結び付けます。
管理表には、正式商品名と品番、言語、参照した情報、確認担当、更新日、対象の表示物を載せます。未確認の翻訳を自動的に本番へ反映せず、どの版まで確認されたかを区別します。価格の更新担当も、翻訳担当と同じとは限らないため分けておきます。
リバティープロの香り見本の説明では、カバーでブランドを伝えることと、取付環境を確認することを重視しています。翻訳を加える際も、表示の内容だけでなく、商品名を隠さないか、手が届くか、隣のテスターと混ざらないかという配置の確認が必要です。
試用から購入まで、説明を減らして確かめる
売場の検証では、企画を知らない人に商品を試し、戻し、購入品を見つけてもらいます。どの箇所でスタッフの指差しや翻訳の補助が必要だったかを記録します。補助が必要なこと自体を失敗とせず、表示で補うか、接客に任せるかを選びます。
インバウンド向けコスメ売場は、翻訳量の多さで完成するものではありません。試した物を見失わず、必要な説明を確認し、納得して選べること。その動作を支える範囲から、言語と情報を追加していきましょう。
よくある質問
多言語POPは何言語にすればよいですか。
一律の数では決めません。想定する利用者、店舗で対応できる言語、情報の更新体制を踏まえて選びます。先に商品識別と基本情報の配置をそろえます。
翻訳をQR先だけに置いてもよいですか。
詳細へ進む方法として検討できますが、通信しなくても商品名・品番・購入位置などの基本を確認できる構成を残します。必要な表示内容は商品と店舗の条件を確認します。
多言語化の相談に何を用意しますか。
対象商品と正式名称・品番、現行POP、想定する言語、確認済みの商品情報、接客の対応範囲、更新担当を共有します。表示を増やす前に役割を整理しましょう。
インバウンド向けコスメ売場の相談に向けて
現在のPOPと、テスター・販売品の写真、想定する言語をご用意ください。商品を見失わない基本表示から、翻訳と接客の役割を整理します。 リバティープロ公式サイトのお問い合わせフォームから、現状と検討したい内容をお知らせください。
専門家プロフィール
株式会社リバティープロ 代表取締役 福森 眞二
ドラッグストア勤務10年、化粧品会社での営業5年、印刷会社でのSPツール制作を経験し、2011年に株式会社リバティープロを創業。化粧品の店頭販促什器を中心に、ドラッグストア、バラエティーショップ、百貨店などの売場を想定した企画・デザイン・製造に携わる。
購入者の選び方、売場環境、競合商品、テスターの使いやすさ、陳列・補充のしやすさを踏まえ、ブランドの世界観を店頭で伝える販促づくりに取り組んでいる。水滴や氷の表現など、視覚・感覚に働きかける演出も手がける。

